福井キヤノン事務機株式会社
(すべて受賞当時の情報です。)
- 設立
- 1973年1月
- 代表者
- 代表取締役社長 玉木 洋
- 本社所在地
- 福井県福井市南四ツ居2丁目1番4号
- 事業拠点
- 本社、敦賀営業所
- 資本金
- 1,000万円
- 売上高
- 16億1,200万円(2006年6月期実績)
- 経常利益
- 4,445万円(2006年6月期実績)
- 従業員
- 64名(2006年6月末現在)
- URL
- http://www.fukuicanon.co.jp/
- 沿革
- 福井キヤノン事務機㈱は、1973年に国産初の普通紙複写機を販売・サービスするキヤノン地域ディーラーとして全額地元資本で設立されました。設立当初は安定経営を目指して「複写機のキヤノン・ブランド」の浸透とシェアの拡大に努めました。
1985年からパソコン事業の将来性に期待して取り組みを強め、「先進性」や「革新性」といった風土づくりがはかられてきました。1990年の原子力関連施設との取引をきっかけに、大規模な情報ネットワークやセキュリティシステムの構築を手がける過程でメーカーとの協業で蓄積された最先端の技術・ノウハウを一般市場へのビジネス展開に役立ててきています。
1992年に創業以来初の赤字決算を体験し、これを機に「収益性重視、量から質への効率化」の戦略転換をはかって直ちに業績を回復しました。その後、効率化に加えてCSを意識した顧客本意の経営が必要との新たな認識から、1996年には機器の修復時間を60分以内に抑える「ダウンタイム60分体制」へのプロセス改善に取り組み、これを実現しました。
1998年に日本経営品質賞(以下JQAと略す)と出会い、これまでの経営の考え方や仕組みを体系的に整理・見直しすることで新たな認識の機会を得ることができました。その後、米国の業界視察によって日本国内における急速な変化を予測し、会社の持続的な成長のためには「独自能力による差別化」と「CSと効率を同時に向上させる業務革新」が急務であると認識しました。これらの背景の下、JQA・FQA(福井県経営品質賞)のフィードバックレポートを参照して2001年に「第一次3カ年計画」を策定し、戦略課題に取り組みました。
2003年の創立30周年には、社内では “社員の経営参画”をキーワードに、社内外には“ソリューション&サポート”をテーマに活動し、「30周年記念フエア」を社員主導のプロジェクトで企画・開催しました。2004年7月には「新3カ年計画」を策定し、「日本一、地域のお客様に役立つ自立したソリューション&サポートカンパニー」を目指して取り組みを進めています。 - 業務内容
- 当社の市場は福井県内で、官公庁・団体・教育機関と約4万7千件の民間企業を対象に事業を展開しています。業務内容はキヤノン製の複合機をはじめとする各種情報商品やネットワーク・セキュリティ商品などの販売・システム構築と各種情報機器の保守・メンテナンスとシステムサポートです。 これらの商品・サービスの提供にあたっては、キヤノンマーケティングジャパン㈱を中心としたビジネスパートナーとの協力関係で、お客様のニーズに応じた提案を行なっています。これら商品・サービスの提供にあたり、私たちは「お客様と“お客様のお客様”」の繁栄に貢献できる、お客様にとってなくてはならないパートナーであり続けたいと考えて活動しています。
- 経営品質向上活動への取り組み
- 1998年、社長が生産性新聞のJQA受賞特集記事を目にし、自らセルフアセスメントコースを受講して取り組みを開始しました。アセスメント基準に沿って考え方や仕組みを整理し、1999年6月にJQA申請、10月にはFQAへ申請し、フィードバックレポートを得て当社の経営品質の現状を改めて認識する機会になりました2002年には再度FQAに申請し「知事賞」を受賞、2003年の創立30周年では「創立30周年宣言(21世紀のやくダち!や宣言)」、モットー「明るく、楽しく、役に立つ」を掲げて経営理念を強化しました。この折、2002年度JQA受賞企業のトヨタビスタ高知(現社名:ネッツトヨタ南国㈱)の横田英毅社長の経営哲学に感銘し、「遠回りでも社員が自主的に考え、取り組む経営」へ移行することによって、次のレベルへの経営クオリティの向上をはかろうと方針を転換しました。
このように「会社の収益改善重視」→「お客様満足重視」→「社員のやりがい重視」と経営の視点をシフトし、現在は組織としての「社会貢献」にも目を向けています。
表彰理由
福井キヤノン事務機株式会社は、情報技術の急激な変化により複写機販売のビジネスモデルが変化し、厳しい競争環境に置かれた中で、新たに「日本一のやくダち!や」を志向し、これまで蓄積してきた、社員の顧客視点での意識の徹底、素早い顧客対応の能力を生かしながら、新たな価値提供に向けて経営品質向上プログラムの実践を通じた継続的かつ堅実な経営革新を進めている。新たに設定した理想像に向けて、福井県経営品質賞などへのチャレンジとそのフィードバックを有効に活用しながら、組織変革を計画的に実行し、社員の力を強化・活用することで着実に顧客価値を高めるなど、組織を進化させ続けている。
- 顧客の信頼を獲得するダウンタイム60分
- 調査を通じて「トラブル発生時の迅速なサービス対応」が顧客の主要な要求であることを理解し、トラブル発生の通報から修復までの時間を60分以内に抑える体制を整備し、継続した改善により、平均時間での目標の達成に加え、ばらつきの縮小、レスポンスタイムの30分以内実施へ進化させ、顧客の信頼を獲得している。
- ハイブリッドプロジェクト※1による営業とサービスの融和
- これまでの複写機対応からソリューション中心のビジネスモデルへと転換するために、営業部門とサービス部門を一本化すると共に、協業を通じて営業職がより顧客のソリューションニーズを理解して提案ができると同時にサービス職が効率的に対応できるように、互いの効果・効率を考えたプロセスに進化させ、主体的に改善を図る場として機能している。
- 対話を重視したリーダーシップ変革と組織力向上
- 「日本一のやくダち!や」に向けて、自主・自立で行動できる人材をはぐくむ組織変革を志向し、社長をはじめとする経営幹部が社員一人ひとりとの対話が重要であると認識し、Yume-Talk*2活動などさまざまな機会を通じて、理念や仕事の目的をよく理解できるように対話を進めている。その結果、社員が自らプロジェクトに参加し、顧客意識を高め、やる気を高めている。
- 新たなソリューションビジネスへの基盤づくり
- 日本一のお役立ち企業になるために、組織革新と事業開発の両面での望ましい姿を明確にし、その実現のための基盤整備を進めている。ピラミッドシステム*3によるソリューション提案のための情報収集方法の変革、経営幹部の戦略推進における組織的リーダーシップの発揮、新たな価値実現のためのネットワークソリューション事業に関する事業基盤の整備、チームリーダー主体でのマネジメントへの移行を見据えたチームリーダーの育成など革新に向けた活動を実践している。
*1 ハイブリッドプロジェクト:営業職とサービス職における活動の相乗効果を高め、お客様への提供価値を高め増やそうというプロジェクト。 チームリーダーを中心に構成され、具体的な協業について検討・実施されている。
*2 Yume-Talk:経営理念などからキーワードを中心にテーマを設け、毎月実施しているフリーディスカッション形式のトップと社員のコミュニケーションの場。全社員を4~5名のチームに分けて実施している。
*3 ピラミッドシステム:商談をデータベースに登録し、営業担当者が顧客経営情報・顧客ニーズ・競合情報・商談経緯を入力することで、提案・販売ノウハウを共有公開するシステム。