株式会社カワムラモータース
(すべて受賞当時の情報です。)
- 設立
- 1964年(1992年に株式会社へ改組)
- 代表者
- 代表取締役社長 河村 将博氏
- 所在地
- 福井県三方郡美浜町河原市17ー3ー1
- 事業拠点
- 美浜店(福井県三方郡美浜町)、敦賀若葉店(福井県敦賀市)の2店舗
- 資本金
- 2,000万円
- 売上高
- 79,300万円(2016年3月期)
- 従業員数
- 28名(2016年6月現在、パート社員を含む)
- URL
- http://www.hondacars-wakasa.co.jp/
- 沿革・事業内容
- 株式会社カワムラモータースは、福井県三方郡美浜町と敦賀市に「Honda Cars若狭」として2店舗を展開する新車ディーラーです。地方のクルマ社会だからこそ、愛車を「安心・快適」に利用されたい顧客を主要ターゲットとし、「心温まるカーライフの創造」を目指しています。
当社の事業は、HONDAブランドの新車販売、各種中古車の販売、自動車保険を主とする損害保険代理店、車両の修理や点検整備によって構成されます。顧客の愛車に対するニーズの変化に伴い、特に「安心・快適」というニーズ充足の具現化に取り組んできました。独自に自社開発した「ClearBox」というICTシステムを軸に、顧客が愛車を「安心・快適」にご利用頂くためのメンテナンス情報を管理しています。その共有された情報を元にした組織的な対応と、情報に基づき権限委譲された社員個人の応対に注力してきました。その取り組みの結果、顧客の細かな要望に対応出来る「メンテパスポート」という独自サービスの開発と運用に繋がりました。 現在は、「心温まるカーライフの創造」に向けて、組織・個人・仕組み(システム)の三要素による顧客への「感動提供」を目指して日々改善を続けています。 - 経営品質向上活動への取り組み
- 2007年度に福井県経営品質賞に初挑戦し奨励賞を受賞しました。その申請経験を通して、経営品質活動の有効性を強く実感しました。小規模組織ゆえに、「申請とフィードバックから学ぶ年」「学びを実践する年」のサイクルを最適と考え、2年毎に福井県経営品質賞に挑戦を行いました。結果、事業内容や組織の成熟度も向上し、2009年度に同優秀賞、2011年度には同知事賞を受賞することが出来ました。
一方で、仕組みの開発技術を持つ社長が中心となって展開する方法に限界を感じ、知事賞受賞までの取り組みの延長線上ではなく、経営を理念レベルから再構築することを決意しました。
「心温まるカーライフを創ろう」という新たな理念体系を元に、「組織」「個人」「仕組み」のレベルをスパイラルアップさせていく戦略は、経営資源に乏しい当社ならではの独自性が生み出したものです。
表彰理由
株式会社カワムラモータースは1964年の創業以来、モータリゼーションの波にのりオートバイから自動車の整備ならびに販売と事業を発展させてきた。1985年には本田技研工業株式会社とのディーラー契約を結び、敦賀市への出店を機に株式会社化、現在は Honda Cars若狭として、美浜と敦賀若狭の2店舗を展開している。
福井県経営品質賞知事賞受賞(2011年度)やハイ・サービス日本300選(2008年度)に選出され、ICTシステムの活用で著名な当社だが、2012年度より「個人の生き方」を構成要素として組み込んだ新たな経営理念体系を構築し、「組織」「仕組み(システム)」とあわせた3つの構成要素の高度なバランスを保ちつつ、「心温まるカーライフを創る」という価値創造に向けて、独自のコンセプトに基づく戦略ストーリーを展開している。
- 「トラブルフリーのクルマづくり」から
「心温まるカーライフづくり」へ顧客価値を転換 - 「トラブルフリーのクルマを創ろう」をミッションに、独自のICTシステムを活用したメンテナンス主体のビジネスモデルを構築していた当社だが、顧客が真に望んでいるのは、「カーライフを通して生活を豊かにすること」であると捉え、他社と競合しない「感動提供」を重要な提供価値と位置づけた、新しい経営理念体系(「心温まるカーライフを創ろう」)を社員全員参加で策定した。
新たな経営理念を具現化する取組みの一環として、メーカー主体の商品を顧客の視点から再構築し、顧客の細かなニーズに柔軟に対応可能な独自コンセプトのメンテパック商品(メンテパスポート)を社員全員で開発した。
このベースには社長自らビジネスパートナーと協働して独自開発したICTシステム「ClearBox」があり、お客様と接する現場の要望を社員1人ひとりからヒアリングして、顧客利便性が高く、他社にまねのできないサービス商品の開発につなげた。職種に関係なく全員でつくり上げたという自負心を胸に、社員一丸となってメンテパスポートの受注・対応に日々取り組んでいる。
また、予約外の来店顧客対応を含め、サービスフロントが中心となって整備工場のスケジュール管理を行い、その結果として、有効顧客数・有効車両数や基盤収益率で全国的にもHONDAディーラートップクラスの改善につながっている。 - スパイラルアップによる「組織」「個人」「仕組み」の絶え間ない進化
- 経営理念の構成要素である「組織」「個人」「仕組み(システム)」をスパイラルアップで繋ぎ、価値を高めていく「スパイラルアップの物語」という当社独自の戦略ストーリーを展開している。拠点長を廃止し、社員個々の自主自律を尊重した「サッカー型組織」への転換とともにスタートしたこの物語は、次に「個人」(「いつどこ個人目標設定」スタート)、「仕組み」(「メンテパスポート」企画開発・運用)と繋いで1stスパイラルが完了し、現在は、2ndスパイラルを展開中である。
隔週開催の「リーダーモーニング(リーダー同士による対話と意思決定の場)」において、「スパイラルアップの物語」が正しい方向に向かっているか振り返りを行うとともに、社長が社員全員との面談を通じた本音のやりとりの中で、共有情報に表れない社員の声を把握し、組織全体の振り返りに活用している。振り返りで明らかになった課題は、「スパイラルアップの物語」へ反映し、より高次の価値創造を目指している。
また、社員主体による「本基プロジェクト(基本を本気で大切にする趣旨でスタート)」における「朝礼改革」や「行動基準づくり」、お客様向けのイベント「感動提供感謝祭」等を通じて、「感動提供」の重要な基盤となる、個人・組織の「真摯さ」が醸成され、「スパイラルアップの物語」の重要なキャストとしての役割を社員一人ひとりが果たすべく意識改革が進んでいる。こうした取り組みの結果、日常の職場ミーティングや全社ミーティングなどにおいても本音の対話による「対話の質の向上」が実現するとともに、「ESアンケート結果」や「個人目標結果」における著しい改善がみられる。