「日本一の爆笑会議!」とは
シリーズ:日本経営品質賞受賞企業に学ぶ!
「日本一の爆笑会議!」とは
~組織風土づくりと創造的対話による人材育成~
開催日:2016年11月25日(金) 14:00~17:00
場 所: 繊協ビル5F 503号
講 師: 福井キヤノン事務機(㈱) 代表取締役社長 岩瀬 裕之氏
参加者 27名
福井キヤノン事務機㈱の全体会議は経営理念、行動規範、戦略ビジョンの浸透方法の一つとして7月と
1月の年2回実施している。
数年前の全体会議は、どちらかというと固い話だけの全体会議で半年後の会議では社長が話した内容
を覚えている社員は皆無であった。また全体会議が終わると“やっと終わった”、“苦痛から解放された”
という雰囲気が社員から伝わり
・この雰囲気を何とか変えていきたい
・できれば社員参画型にしたい
・皆の思いを共有できる楽しい場にしたい
・社員一人一人がもっている、潜在的能力を発揮できる場にしたい
と考えていた。
但し、単に笑えるだけの余興の場ではないので、社員一人一人が「思考力」、「行動力」、「協働型コミュ
ニケーション力」と定義している人間力を高めること、主体性をもつことをテーマにした。
その背景には、経営理念や行動規範に加えて、福井キヤノンのモットーである「明るく 楽しく 役に
立つ」と戦略ビジョンである「日本一 役に立つソリューション&サポートカンパニーへ」がある。
現在の全体会議の次第は、玉木会長(15分)、 岩瀬社長の振り返りと方針発表(60分)、各組織の
方針発表(各10分)、社員が選ぶ優秀社員賞の表彰、海外報奨旅行記発表などがあり、約3時間の会
議のうち80%程度は笑いが沸き起こる場になっている。
岩瀬社長の振り返りと方針発表では、実績などの確認を社員との掛け合いで社員参画ムードをつくり
あげたり、方針や計画などの話の間に社員個々のエピソードや特徴を捉えて、面白おかしく、時にはサ
プライズなども取り混ぜてメリハリをつけて、聞いている社員を常に会議に集中させるような工夫をして
いる。
こういった岩瀬社長の発表スタイルが組織長(リーダー)による組織の方針発表や海外報奨旅行記発
表にも影響を与え、社員個々が主体性をもって工夫することで爆笑の全体会議へと進化していった。
“明るく 楽しく 面白く”をテーマにしたリーダーによる組織方針の発表も単に笑える発表だけではなく
メッセージ性がしっかりある素晴らしいパフォーマンスを発揮している。
このような発表の機会を通して、ソリューションスキル必要な提案力を聞いている人を引き付ける力も
着実に身について来ている。
「Yume-Talk Next」
目標管理「MBO」(Management by Objectves)から思いのマネジメント「MBB」(Management by
Belief)へ
人材育成の具体的な仕組みとしては15年ほど前から「目標連鎖制度」という目標管理制度に取り組み
によって、思考力、行動力、協働コミュニケーション力といった“人間力”評価をしてきたが、どうしても業
務上のPDCAに比重が置かれる傾向になってきたので、社員一人一人の“思い”や“自己実現”をもっと
重視して社員同士の対話、リーダーや役員との対話から「創造的対話」に発展できるようにと、2014年
7月から「Yume-Talk Next」としてリニューアルした。
「Yume-Talk Next」で大切なことは、10年後のYume(夢)を掲げ、Yume(夢)の実現ストーリーを描き、
そのYume(夢)を達成するための重要成功要因を見出すこと。そして毎月の計画、実践から省察し対
話から気づきを得ること。
「リーダー実践塾」
リーダー層のスキルアップを目的として毎月1回(3時間半)、リーダー層並びにリーダーを目指す人が
自主参加している。
「リーダー実践塾」を開始した2013年7月は、組織方針&進捗の発表、数字を読み取るセッション、
課題図書の読書感想文の発表といった3部構成になっており、全て個人ワークとグループワーク、そし
てグループワークの発表といったスタイルで、読書感想文以外は毎年テーマが変更されている。
たとえば、2015年7月~2016年6月の第1部は、日本経営品質賞のアセスメント基準書に沿って経営品
質報告書を作成しセルフアセスメントを実施、2016年7月~の第1部は、福井キヤノンの50年史をもとに
した自己の振り返りや将来に向けて変革すべきことなどをテーマにしている。
「筆者感想」
岩瀬社長からは、社員個々のエピソードや特徴を細かく捉えるためには、日頃から社員一人一人のこと
をしっかりと見ていることがうかがえる。それは2012年7月から毎週欠かしたことが無いという「ONE
VISION」と名付けた週報(社員向けメッセージ)などからも伝わった。
同様にリーダーによる組織発表などからも一緒に働く仲間(社員)への関心が高いことがうかがえる。
「Yume-Talk Next」や「リーダー実践塾」などの人材育成の仕組みでは、絶えずその仕組みそのもの
を検証し改善し続けていることが印象に残った
「参加者感想」
参加者からは社長と社員の距離感が近く、明るく鵜楽しい職であろうと推察します。
個人の想いの実現をベースに働き方を考えていく工夫に感銘しました。
社長と社員のビジョンが同じ方向を見ていてとても良い雰囲気だと感じた
等々の感想があった。